May 15, 2011

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 民主党の新代表に選ばれた野田佳彦氏が直面するのは、産業再生という重い課題だ。米欧の経済不安を背景にした「超円高」で産業の空洞化懸念が高まり、菅直人内閣が成長戦略として掲げた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加、法人税減税なども手つかずのまま。「国難とも言うべき事態」(野田氏)を打開するための戦略が急務となる。

 ◆容易でない為替介入

 「断固たる措置をこれからもやり抜く」。野田氏は円高対策について、代表選を通じこう繰り返し、力を注ぐ考えを示してきた。

 円相場は19日に戦後最高値の1ドル=75円95銭を記録して以降、76〜77円台の最高値圏で推移している。一方、輸出関連企業の多くは想定為替レートを80円程度に設定。たとえばトヨタ自動車の場合、年間1ドル=1円の円高になれば、340億円の営業利益が吹き飛ぶ。

 これに電力不足などの問題が加われば「国内生産が苦しくなる日本企業の海外移転が進み、産業空洞化が加速する」(市場関係者)。政府試算によれば、円高が対ドルで10%進むと、産業空洞化などを通じ1年で実質国内総生産(GDP)が0.2%押し下げられるという。

 円高に対しては、野田氏はこれまで通り介入も辞さない構えだが、市場の健全性がゆがむことを危惧する米欧からは単独介入に対してすら理解が得られるか疑問で、「介入はそうそう切れるカードではない」(政府筋)。

 さらに、9月に編成が本格化する2011年度第3次補正予算では「国内立地の補助金や中小企業の金融支援など、あらゆる取り組みを進める」(野田氏)考えだが、3次補正は財源論議が難航しているため、編成作業が後ずれし、円高対策の遅れにつながる恐れもある。

 ◆党内の反発鮮明

 一方、日本企業の競争力強化や空洞化防止には自由貿易体制の推進も重要だ。

 海外輸出でライバル関係にある韓国は、7月に欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を発効。貿易総額に占めるFTA締結国との貿易額の比率は韓国が約36%である一方、日本は約17%と出遅れている。メーカーからは「日本企業は同じ条件で競争させてもらえていない」と悲鳴が上がる。

 野田氏は代表選にあたり自由貿易体制の構築の遅れを問題視してきた。TPPについても「早急に結論を出すべきだ」と積極姿勢を示している。

 ただ今回の代表選では、農業保護などを理由に、小沢一郎元代表や鳩山由紀夫前首相のグループのTPPに対する反発が強いことが鮮明に。政府内からは「野田氏も彼らの意向を無視できず、TPPも簡単には決断できないでのはないか」との声が上がる。

 このほか、世界的にみて高い法人税の実効税率の5%引き下げを盛り込んだ11年度税制改正法案は与野党の対立で国会審議が止まり、実現の見通しが立っていない。引き下げが実行できなければ、国内企業の海外移転が加速する恐れはさらに高まる。

 大連立を含めた野党との協力について、「成功するまで101回でもプロポーズする」とまで述べた野田氏。野党や与党との調整をどこまで進め、産業再生を実現できるのか。指導力が問われている。(山口暢彦、小雲規生)

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 内閣府は29日発表した8月の地域経済動向で、全国11地域のうち四国と北陸を除く9地域の景況判断を前回5月調査から上方修正した。東日本大震災で寸断した部品のサプライチェーン(供給網)が復旧して生産が回復し、消費や雇用も持ち直している。ただ、先行きのリスクとして、電力の供給制約のほか、円高や海外景気の下ぶれなどを挙げた。

 景況判断を上方修正したのは、北海道、東北、北関東、南関東、東海、近畿、中国、九州、沖縄。サプライチェーンの復旧で、東日本を中心に自動車などの生産が回復している。

 東北は前回、「震災の影響により、極めて大幅に悪化している」としていたが、今回は「厳しい状況にあるものの、持ち直している」とした。

 9地域を上方修正するのは、リーマン・ショック後の落ち込みから景気が立ち直りつつあった2009年8月(10地域を上方修正)以来になる。

 一方、四国は世界的な需要の減退で半導体の生産が低迷したことなどから、「弱含んでいる」として下方修正。北陸は判断を据え置いた。

 項目別では、個人消費を北海道と四国を除く9地域で上方修正。夏物衣料や地上デジタル放送完全移行に伴うテレビの販売増が後押しした。

 雇用情勢は北陸、中国、四国、九州を除く7地域を上方修正した。

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