Oct 02, 2009
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東京電力福島第1原発の復旧を巡り、作業員の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた特例措置が現場であいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に線量が記載されていないケースがあることが分かった。関係法を所管する厚生労働省は通常規則に基づき「100ミリシーベルトを超えると5年間は放射線業務に就けない」とする一方、作業員の被ばく線量を一括管理する文部科学省所管の財団法人は「通常規則とは全く別扱いとする」と違う見解を示し、手帳への記載法も決まっていないためだ。
運用があいまいだと作業員の安全管理上問題がある上、将来がんなどを発症した際の補償で不利益になる可能性もあり、早急な改善が求められそうだ。
作業員の被ばく線量は、原子炉等規制法に基づく告示や労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則で、5年間で100ミリシーベルト、1年間では50ミリシーベルトに抑えるよう定めている(通常規則)。ただ、緊急時には別途100ミリシーベルトを上限に放射線を受けることができるとの条文があり、国は福島第1原発の復旧に限り、250ミリシーベルトに引き上げる特例措置をとった。国際放射線防護委員会の勧告では、緊急時は500ミリシーベルトが上限だ。
問題となっているのは特例措置と通常規則との兼ね合い。厚労省は「通常規則は有効で、今回の作業で100ミリシーベルトを超えた場合、5年間は放射線業務をさせないという方向で指導する」とし、細川律夫厚労相も3月25日の参院厚労委の答弁で全く同じ認識を示した。
一方、作業員の被ばく線量を一括管理する財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターは「250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめてしまうと、相当年数、就業の機会を奪うことになる。全く別扱いで管理する」と説明。さらに「労災申請時などに困らないよう、手帳に記載する方法を検討している」とし、放射線管理手帳への記載方法が決まっていないことを明らかにした。
復旧作業にあたる2次下請け会社の男性作業員(30)は3月下旬、現場で元請け会社の社員から「今回浴びた線量は手帳に載らない」と説明された。「250ミリシーベルト浴びて、新潟県の東電柏崎刈羽原発で働くことになっても250ミリシーベルトは免除される」と言われたという。
作業員が所持する線量計のデータは通常、原発から同センターのオンラインシステムに送られ一括管理されるが、福島第1原発では事故後、オンラインシステムが使用できないという。また、作業員の被ばく線量の登録管理を巡るルールは、同協会と電力会社、プラント会社など関係約70社で話し合われるが、事故後は会議を開けない状態が続いているとされる。【市川明代、袴田貴行、森禎行】
【ことば】放射線管理手帳
作業員一人一人の被ばく線量や健康診断結果などを記載する手帳で、これがないと放射線管理区域には入れないことになっている。ただし法的根拠はなく、財団法人・放射線影
響協会の放射線従事者中央登録センターと電力各社、元請け会社、主な下請け会社などで自主的に運用している。作業中は本人たちの手元にはなく、会社側が預かっているケースが多いとされる。
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東京電力の福島第1原発事故で、政府が検討している損害賠償対策案の骨格が20日、分かった。今回の賠償や将来の事故に備える「原発賠償機構(仮称)」を新設し、賠償の財源は国が拠出する交付国債や金融機関からの融資で賄う方向。東電は同機構から当面の賠償資金を借り、分割して返済する。機構は東電の優先株を取得して事実上の公的監視下に置き、経営監視の役割も担う。
損害賠償は一義的に東電が対応するが、一度に巨額の賠償が必要になった場合、債務超過に陥って電力供給に支障が出る可能性がある。このため政府は、潤沢な資金を持つ機構を作り、東電が借り入れや優先株発行で賠償資金を調達できる仕組みが必要と判断した。
対策案によると、機構は今回の事故の損害賠償に対応する勘定と、将来の事故に備える勘定を分離して管理する。損害賠償対応の勘定は、公的資金を原資とする交付国債と、金融機関からの融資を財源にする。交付国債の規模は損害賠償額によるが、数兆円に上る見通し。
交付国債は、特定目的のために発行する無利子の国債で、同機構の資金需要に応じて現金化する。金融危機時に、預金者保護に充てる公的資金の原資にするため、預金保険機構に交付した例がある。
また、将来の事故に備える勘定は、原発を保有する電力会社などが負担金を出すことを想定している。機構は東電が発行する議決権のない優先株を引き受け、配当を受け取る。
ただ、東電の負担のあり方については、政府内や金融機関で意見が分かれている。特に、融資以外に東電の社債も持つ金融機関は、過大な賠償負担で東電の財務体質が悪化することを懸念しており、年1000億円規模の返済で10〜15年、計1兆5000億円程度を賠償の上限にするよう求めている模様だ。これに対し、公的負担を抑えたい財務省は、上限の設定には慎重な立場だ。
今後、経済産業、財務、文部科学の各省と東電などで最終調整を進め、月内にも枠組みを決める。ただ、損害賠償の見積もり次第では交付国債の発行規模などが変わるため、制度の詳細設計は5月以降にずれ込む可能性もある。
東電は人員削減や資産売却などのリストラで賠償の原資を少しでも増やす意向だが、被災した発電所の復旧や事故対応に加え、原発停止に伴う火力発電の活用での燃料費、廃炉費用などが膨らむのは必至で、電気料金の値上げも検討する。
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